ブログ一覧へ
AI・業務設計

AIは、チャットするだけのものではない

技術担当者から見た、仕事の中でのAI活用

中山 青映

Written by

Rism Japan合同会社 CTO 中山 青映

はじめまして。
Rism Japanで技術面を担当している中山青映です。

前回が「Rism Japanを始めた理由」という話だったので、今回はもう少し技術寄りの話を書いてみます。

最近はChatGPTを使ったことがある人もかなり増えました。

文章を書かせたり、分からないことを質問したり。私も普段からそういう使い方をしますし、それだけでも十分便利です。

ただ、普段から技術に触れていると、AIをチャット画面の中だけで使うのは少しもったいないなと思うことがあります。

普段使っているメールやスプレッドシート、PDF、顧客管理システムなどとつなぐと、できることが一気に増えるからです。

Section 01

例えば、会社に問い合わせメールが届いたとします。

担当者はメールを読んで、内容を理解して、誰が対応するかを決めます。必要なら過去のやり取りを探して、返信を書き、対応したことを記録します。

1件だけなら大した作業ではありません。でも、毎日何件も届けば時間がかかりますし、忙しい日は対応漏れも起こります。

この業務の流れにAIを組み込むと、メールの内容を読んで、「見積もり依頼」「既存顧客からの質問」「急ぎの相談」といった形に分けることができます。

さらに顧客情報や過去の対応履歴とつなげれば、担当者を振り分けたり、返信の下書きを作ったり、対応履歴を残したりするところまでAIに手伝わせることができます。

もちろん、最初から全部を自動化する必要はありません。

返信案まではAIが用意して、最後は担当者が確認して送る。それくらいでも、毎回ゼロから考えて返信を書く必要はなくなります。

私が面白いと思っているのは、こういう使い方です。

AIに質問して答えをもらうだけではなく、普段の仕事の流れの中にAIを入れて、今まで人がやっていた面倒な部分を少しずつ減らしていく。

そうすると、AIの使い道はかなり広がります。

Section 02

バラバラになっている情報も扱える

実際の会社では、情報がきれいに整理されているとは限りません。

見積書はPDF、案件の進捗はスプレッドシート、お客様とのやり取りはメール、細かい作業手順は担当者しか知らない。

こういう状態は、珍しくないと思います。

こうした形式がバラバラな情報を扱えるのも、生成AIの面白いところです。

たとえば、複数の見積書から会社名や金額、日付だけを抜き出して一覧にする。
会議の録音から、決まったことや担当者を整理する。
過去の社内資料から、必要な情報を探しやすくする。

営業日報を読んで、次に連絡すべきお客様を整理することもできます。

これまでは、人が一つずつファイルを開いて、読んで、コピーして、別の場所に入力していました。

一つひとつは単純な作業でも、積み重なるとかなり時間を使います。

こういう部分をAIに手伝ってもらって、人は内容の確認や、その後の判断に時間を使う。

私はその方が、AIの使い方として自然だと思っています。

Section 03

AIだけで全部できるわけではない

ここまで書くと、AIに情報を渡せば何でも自動でやってくれるように聞こえるかもしれません。

でも、実際にはそこまで単純ではありません。

AIが得意なのは、文章を読んだり、内容を分けたり、下書きを作ったりすることです。

一方で、データを保存したり、システムに登録したり、通知を送ったりする部分は、既存のシステムや別のプログラムと組み合わせて動かします。

そして、AIは普通に間違えることもあります。

だからこそ、どこまでAIに任せて、どこから人が確認するのかは最初に考えておく必要があります。

たとえば、社外に送る文章は必ず人が確認する。社内資料について回答するときは、元になった資料も一緒に表示する。個人情報や機密情報については、アクセスできる人を制限する。

こういう部分はあまり目立ちません。

ただ、実際に会社の仕事で使うとなると、かなり重要な部分です。

新しいAIモデルを使うことより、安心して使い続けられる形を作ることの方が難しい場合もあります。

Section 04

最初から大きなシステムを作る必要はない

AI導入と聞くと、大きなシステムを作って、会社全体の仕事を一気に変えるようなイメージがあるかもしれません。

でも、最初はもっと小さくていいと思っています。

毎週作っている報告書の下書きだけをAIに任せる。
会議後のアクション項目だけを自動で整理する。
問い合わせを担当者ごとに振り分ける。

まずは1つの作業で試してみる。

本当に作業時間が減るのか。間違いは起きないか。実際に使う人にとって使いやすいのか。

そこでうまくいけば、少しずつ広げていけばいいと思います。

最初から大きなものを作るより、実際に使う人の反応を見ながら直していけるので、この進め方の方が現実的です。

Section 05

技術からではなく、今の仕事から考える

AIの技術はかなり速いペースで進んでいます。

少し前には難しかったことが、今では普通にできることもあります。

技術を触っている側としては、新しいものを見るたびに試したくなります。

ただ、新しい技術を使ったからといって、必ず仕事が良くなるわけではありません。

何かを作る前に、まずはその会社でどんな仕事が行われていて、どこに時間がかかっているのかを知る必要があります。

今のやり方でうまくいっている部分まで、無理に変える必要もありません。

実際に話を聞いてみたら、AIではなく、単純な入力フォームやルールの見直しだけで解決できることもあると思います。

それなら、それでいいと思っています。

Rism Japanでは、「AIを使うこと」自体を目的にはしていません。

その会社の仕事をちゃんと理解した上で、「ここはAIを使った方が楽になる」と思えるところに使う。

そして、作って終わりではなく、実際の仕事の中で使い続けられるものにする。

そういうものを作っていきたいです。

今後はこのブログで、実際にどういう仕組みが作れるのか、作るときにどこが難しいのかなど、もう少し具体的な技術の話も書いていこうと思います。

「自分の会社のこの作業も変えられるかもしれない」と、少しでも思ってもらえたら嬉しいです。

Rism Japan合同会社

CTO 中山青映